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多重人格者ってこんな感じ? :インサイドヘッド

インサイドヘッド(2015年 アメリカ)

 (wowowで鑑賞)

 

スタッフ

監督.原案:ピート・ドクター

製作総指揮ジョン・ラセター

 

キャスト(声の出演)

ヨロコビ:エイミー・ポーラー

カナシミ:フィリス・スミス

 

あらすじ

ミネソタの田舎町で明るく幸せに育った少女ライリーは、父親の仕事の都合で都会のサンフランシスコに引っ越してくる。新しい生活に慣れようとするライリーを幸せにしようと、彼女の頭の中の司令部では「ヨロコビ」「カナシミ」「イカリ」「ムカムカ」「ビビリ」の5つの感情が奮闘していた。しかし、ある時、カナシミがライリーの大切な思い出を悲しい思い出に変えてしまう。慌てて思い出を元通りにしようとしたヨロコビだったが、誤ってカナシミと一緒に司令部の外に放りだされてしまう。ヨロコビは急いで司令部に戻ろうと、ライリーの頭の中を駆けめぐるのだが……。

(以上、映画.comより引用)

 

予告編

映画『インサイド・ヘッド』最新予告編

 

CG作品が製作される度に言われることですが背景やセット、小道具の描写はほとんど実写と変わりがない程のリアルさです。また、CGならではの細やかな演出が心憎い。

 

インサイドヘッドつまり脳の中の構成が、物語と相まってとても面白い効果を生んでいます。

頭の中は人を操作する司令室、ここにヨロコビ、カナシミ、ビビリなどの感情を擬人化した登場人物がいます。他に記憶の倉庫(本作では記憶はボーリング大のガラス玉になっています)、家族や友人、趣味のホッケーの思い出の島。忘れてしまった記憶が眠る深い谷底。さらに奥の深層心理には誕生日を心待ちにしているピエロが存在しており恐怖が実際的な姿を持って表されています。

 

ヨロコビとカナシミとい2つの感情のペアが頭の中で冒険を繰り広げるストーリーなのですが、始めはヨロコビがあまりにも伸びやかに表現されており、お荷物のように表現されるカナシミの存在は一体なんのためにあるのかよく分からないところがあります。

 

二人の冒険が進んでいくにしたがってヨロコビだけでは解決できない問題、またカナシミがあってこそ貴重な思い出になるということに気づかされます。最終的に悲しみと喜びはふたつあってしかるべきものでありお互いが補完しあってこそ、その感情をより深いものにしていくということが描かれていたような気がします。

 

原題のインサイドアウトは裏返しと言う意味らしいが冷静に考えてみるとちょっと気持ち悪い感じがしないでもないですが、髪の色が同じのヨロコビとカナシミはもしかしたら頭の中の表裏一体の感情を表現していたのかもしませんね。

 

昔、小説で多重人格を扱った「24人のビリーミリガン」という作品がありましたが多重人格というものが実際に存在するものなら、その頭の中を見てみるとこの映画のようなものになって複数の人格が忙しく立ち働いているのでしょう。

 

記憶の倉庫の形状が脳のシワシワをイメージしていたり、ヨロコビたちのいる司令室が目の後ろ前頭葉あたりにあり、実際の前頭葉の役割をイメージしているなど、インサイドヘッド世界と実際の脳の役割の対比も面白いですよ。