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主題歌「THIS IS ME」が評判だが・・・ - グレーテスト・ショーマン

先日行われた第90回アカデミー賞で主題歌賞に「THIS IS ME」がノミネートされましたが、惜しくも最優秀賞を逃しました。 日本での興行成績も好調な話題の「グレーテスト・ショーマン」を見てきましたので感想をお送りしたいと思います。

注意! ネタバレを大いに含みます。

内容紹介

「レ・ミゼラブル」でも華麗な歌声を披露したヒュー・ジャックマンの主演で、「地上でもっとも偉大なショーマン」と呼ばれた19世紀アメリカの実在の興行師P・T・バーナムの半生を描いたミュージカル。劇中で歌われるミュージカルナンバーを、「ラ・ラ・ランド」も手がけたベンジ・パセック&ジャスティン・ポールが担当した。貧しい家に生まれ育ち、幼なじみの名家の令嬢チャリティと結婚したフィニアス。妻子を幸せにするため努力と挑戦を重ねるフィニアスはやがて、さまざまな個性をもちながらも日陰に生きてきた人々を集めた誰も見たことがないショーを作り上げ、大きな成功をつかむ。しかし、そんな彼の進む先には大きな波乱が待ち受けていた。主人公P・T・バーナムことフィニアス・テイラー・バーナムをジャックマンが演じ、バーナムのビジネスパートナーとなるフィリップ・カーライル役を「ハイスクール・ミュージカル」「ヘアスプレー」のザック・エフロン、バーナムの妻チャリティを「マンチェスター・バイ・ザ・シー」のミシェル・ウィリアムズが演じる。(映画.comより)


映画『グレイテスト・ショーマン』予告A

迫力のあるミュージカルシーンに引き込まれる

導入部分のヒュー・ジャックマンの力強い歌声にのっけから持って行かれます。「ラ・ラ・ランド」同様掴みはOKという感じです。 その後も迫力あるダンス、歌、分かりやすいシンプルなストーリーが観客をぐいぐいと物語に引き込んでいき、 こりゃなかなかの傑作じゃないのと思わずに入られませんでした。 心が体が音楽に合わせて動き出すのを止められない、そんな楽しい気分になります。

でも、中盤から終盤、主人公バーナムがサーカスだけでは飽き足らずヨーロッパからアメリカに歌手を招聘するあたりから、なんだか話が怪しくなってきます。

フリークスたちの扱いにひっかかりあり

この物語の肝は、虐げられた境遇の主人公が同様に虐げられたフリークスたちとともに栄光を掴むというところ、もちろんストーリーには起伏が必要で、仲間の結束も主人公の浅はかさでいったん崩れさろうとするのですが、ある出来事がきっかけとなり再び仲間の結束は結ばれていきます。 しかし、このフリークスたちの扱いがどうにもひっかるのです。

本作の感動のタネになるはずの彼らフリークスは主人公バーナムにいいように扱われ、結局は捨てられてしまったように僕には感じられたのです。 悪く言えばバーナムの成功のためのただの踏み台にされたということです。

ただのわがまま男と対照的な女ふたり

前述の通りバーナムは貧困の中で育ちます。そして資産家の令嬢と駆け落ち同然の結婚をします。彼の夢は金を稼いで再び妻に裕福な暮らしをさせること、それは自身の自己実現でもありました。フリークスたちのサーカスで成功を勝ち得て裕福な暮らしを実現させます。しかし、上流階級からは下品な見世物小屋としてしか評価されません。そこで、ヨーロッパから「本物」の歌手を招聘することで上流社会に認められようとします。それも成功するのですが、逆にサーカスの仲間たちとは仲違いをしてしまうのです。 ここまでの経緯を見ているとバーナムはただのわがまま男です。成功しているから救われていますが振り回される周囲の人間はいつもハラハラしていなければなりません。

もっともハラハラさせられる妻は歌います。「貧しい生活でも家族と暮らせれば幸せよ」と。しかしバーナムそれに気づくことなく、リスクをとってビジネスを拡大します。それが歌手招聘なのですが、歌手とのツアーの中で歌手とバーナムは危うい関係になっていきます。歌手は歌います、「私は満足しない」と。 好対照な二人の女性が表しているのはバーナムの二面性でしょうか。

好人物として知られているヒュー・ジャックマンのキャラクターで救われている感じがしますね。

最終的にサーカスから離れて上流階級に行った

終盤、バーナムはビジネスパートナーにサーカスを譲って表舞台から去ります。そして家族のために生きることを誓います。サーカスから去って彼が行くところは娘のバレエ発表会。 結局彼はフリークスたちの下品な見世物小屋から去って、上流階級を象徴するバレエ会場へと向かったのです。 フリークスたちの扱いに疑問を持ち、首をかしげざるを得ませんでした。

楽しむこと前提のミュージカル映画に小理屈を持ち込むなというご意見もあると思いますが、真っ暗の中で息を潜めてスクリーンに映る幻影を見るという映画の本質は見世物です。僕はそれをバカにされているような気がするのです。考えすぎですかねぇ。

なにも考えずに観れば迫力のあるミュージカル

いろいろつっこみたいところはあるけどミュージカルシーンは 迫力があり楽しめます。 あまり深く考えずに楽しむことをメインに観に行けば、良い経験になることは請け合いです。 2、3回見ようとは思いませんが…

2018年3月23日現在、劇場公開中ですのでぜひご覧になってください。