作品自体が皮肉な映画:ザ・プレイヤー 感想
ザ・プレイヤー(1992年 アメリカ)
スタッフ
監督 ロバート・アルトマン
脚本 マイケル・トルキン
撮影 ジャン・ルピーヌ
キャスト
ティム・ロビンス
グレタ・スカッキ
フレッド・ウォード
ウーピー・ゴールドバーグ
ピーター・ギャラガー
あらすじ
映画会社の重役グリフィンは脅迫状まがいの葉書を送りつけてきた脚本家デビッドを勢いあまって殺してしまう。その後、グリフィンは殺人の事実を伏せたまま、デビッドの恋人ジューンと親しくなっていく。一方、警察の捜査も進んでいたが……
ヒットの要因
以前、バードマンの時にワンカット長回しについて書いたがあれはCG合成したもので、本作のプロローグは本当のワンカット長回しです。これだけ(およそ8分間)の長回しを撮るには相当の準備がいるだろうと思われますが撮影が素晴らしくカットが変わった瞬間に思わず拍手したくなりました。
さて本作ですが、そのバードマン同様に映画業界に対するブラックな皮肉のこもったコメディです。
映画会社の社長がヒット映画に必要なものは「スター、サスペンス、SEX、ハッピーエンド」なのだそうです。実は皮肉にも本作のはこのすべてが盛り込まれているのです。ラストをハッピーエンドと思うか毒の効いたバッドエンドと思うかは見る人次第になりますが。
映画作りの厳しさ
主人公は映画制作会社の脚本採用担当副社長で1年間に5万件の企画が持ち込まれるのにその中から実際に映画になるのは12本だけ。5万件を裁く主人公の口癖は「25文字で説明しろ!」
そんな確率をくぐり抜けてきたのに時々つまんない作品に巡り合うのはなぜなんでしょうね。コネや名声のない脚本家たちは売り込みに必死です。主人公に誤って殺されてしまう脚本家もそのうちの一人、過去に脚本を持ち込んで実際に会っているのに脚本の内容はおろか顔さえ主人公に忘れられています。
売れない脚本家、俳優、演出家などがハリウッド界隈にはゴマンといるんでしょうね。
日本の存在
映画の本題からは外れますが、この映画やたら日本のことが出てきます。最初のワンカット長回しで出てくるソニー(?)関係者、主人公と被害者が行く店は日本料理店、主人公がロケに行っていたのも日本。
制作年はすでにバブルは弾けた後なんですが、まだまだ日本の存在はハリウッドにとって大きかったんだなと思わせられます。
カメオ出演 監督のロバート・アルトマンはハリウッドでも尊敬を集める存在でしたが一時期ハリウッドを離れて映画制作を行います。で、本作が復帰作なんですが、さすがに尊敬を集める存在だけあってカメオ出演で出てくるメンツが半端じゃありません。80年代〜90年代初頭に活躍していたスターがまさに綺羅星のごとく登場します。そんなスター探しをするのも本作の楽しさのひとつです。