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ムーンライト:偽善と見るか必然と見るか

 最近、体調が思わしくなくて更新を怠っておりました。

 巷では(僕の周囲のみ?)長引く風邪が流行っているようです。 暑くなったりちょっと涼しくなったりと体調を崩しやすい季節ですね。お腹を出して寝てしまわないように皆さんも気をつけてください。

  さて、今回は波乱のアカデミー賞授賞式で作品賞を勝ち取った「ムーンライト」です。 やっと観れました…。


アカデミー賞作品賞!『ムーンライト』日本版オリジナル予告

 

あらすじ

 マイアミを舞台に自分の居場所とアイデンティティを模索する少年の成長を、少年期、ティーンエイジャー期、成人期の3つの時代構成で描き、第89回アカデミー賞で作品賞ほか、脚色賞、助演男優賞の3部門を受賞したヒューマンドラマ。

 白すぎるオスカーとトランプへのあてつけ  

 ここ数年、アカデミー賞はノミネートされる俳優たちがほとんど白人ばかりだったため「白すぎるオスカー」と揶揄され、昨年の授賞式はウィル・スミスが出席をボイコットするまでになってしまいました。

アメリカは人種多様性に敏感です。もともと作成される作品自体が白人を中心としたものが多いということもあるのですが、黒人、ヒスパニックの俳優・スタッフへの差別が根底にあると思われてはハリウッドにとってもたまりません。なにしろアメリカは既に非白人が人口の半分になろうとしているのです。映画を観にくる観客の半分が有色人種名なのに晴れの舞台に立つのは白人ばかりでは白けてしまいます。

 さらに、ことし1月に就任したトランプ大統領とハリウッドは、人種や性の多様性、中絶問題などで対立する構図になっています。  という文脈で今回のアカデミー作品賞を考えてみるとあまりに政治的な背景が強すぎるのです。予告編を見てもらえばお分かりのとおり、主人公をはじめ取り巻く登場人物たちは皆黒人です。 あからまさまに白い人は出てきません。

 「ムーンライト」は今年だからオスカーを手にすることができたのでしょうか。逆に言えば「ララランド」は白人しか出てこなかったから賞を逃してしまったのでしょうか。

アカデミー作品賞に値するか?

 皆さんはアカデミー賞を取る映画って、どんなイメージがありますか。有名な俳優、監督が参加している大作って感じでしょうか。

 でも、意外に社会的な問題作みたいな作品が好まれる傾向があります。なぜかというといつも馬鹿みたいな映画ばかり作っているハリウッドとしては年に一回くらい利口ぶってカッコつけたいのです。黒人でゲイというマイノリティの中のマイノリティを描く本作はそういう意味ではアカデミーらしい作品です。

 しかし同じ脚本をヨーロッパで映画化(白人で)した場合、どんな評価を得たでしょうか。たぶんありきたりな作品と言われたでしょう。

 僕は予告編を見て、青みがかった画像を多用した幻想的な映画かと思っていましたが、そういった演出は抑え目でドキュメンタリータッチとまでは言わないまでもナチュラルな雰囲気を感じました。

今後のハリウッドの姿勢に期待

 今年だけ人種の垣根を取り払っても続かなければ意味がありません。

 そういう意味で本作が人種面でのハリウッドの弊習を打破した画期的な作品になるよう願っています。

one more thing

 封切り後、かなり時間が経過してからの鑑賞だったため、大き目の劇場はもう終わってました。ネットで探して見つけた 映画館が「渋谷アップリンク」です。映画館というよりはお芝居をやる小劇場と言う感じで椅子も据付ではないものが並べられていました。また、カフェが併設されており早めに行ってそこでお茶しててもいいかもしれません。 バブル華やかなりし頃の小劇場ブームを思い出しました。

 

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