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本当に素朴な映画:運動靴と赤い金魚

運動靴と赤い金魚(1997年 イラン)

 

スタッフ

監督・脚本:マジッド・マジディ

音楽:ケイヴァン・ジャハーンシャヒー

 

キャスト

アリ(お兄ちゃん):ミル=ファロク・ハシェミアン

ザーラ(妹ちゃん):バハレ・セッデキ

 

あらすじ

イランの貧しい家で暮らす少年アリは、妹ザーラの靴を修理してもらった帰りにその靴を失くしてしまう。新たに靴を買う金もない親に知れるのを恐れた彼は、失くしたことを親に告げぬようザーラに頼み、兄妹はアリの運動靴を2人で共有しなければならなくなった。朝はザーラが運動靴を履いて登校し、昼はアリがサンダルで学校の近くまで行き、下校途中のザーラと互いの靴を交換して学校へ行く毎日。そんなある日、アリは運動靴が商品のマラソン大会が開催されることを知る。

 

予告編

運動靴と赤い金魚

 

僕の妻の好きな映画 第二弾!

前回の「ホットファズ」をご覧になった方は僕の妻についてご心配をおかけしたかもしれませんが、本作は女性らしい選択で安心です。

 

イランと言うと核開発とかイラクとの長い戦争などを思い出していかつい感じがしませんか。

そんなイランの貧しいけれどほのぼのした兄妹の物語です。

 

昔々、日本やイタリアが第二次大戦に敗北した後にも本作に似たような貧しい庶民の話がよく映画になり名作として取り上げられていたような気がします。(自転車泥棒とかキューポラのある街とか、そんなイメージ)

イランは1979年のイスラーム革命以後、イラクとの戦争や核開発による経済制裁で庶民の生活はかなり苦しいのであったことが想像されますが、その感じが戦後の日本、イタリアのイメージに被ります。

 

映画は貧しいイランのどこかの郊外の街が舞台で、この街の風景がとても味のある情景を醸し出しています。映画のトーンが淡々としていることもあり、多分オールロケで撮影されたであろう本作に素晴らしい「美術」を与えています。

こういう作品を観てしまうとハリウッドや日本の新作の凝ったプロダクションデザインが綺麗だけどちゃちなものに見えてきます。

 

そして、このかわいらしい兄妹の名演技。

撮影当時は8歳と6歳だったそうで、その悲しそうな泣きと優しい微笑みの演技は思わずホロっとされてしまします。この2人の演技を見るだけでもこの映画をみる価値は十分にあると言えるのではないでしょうか。

 

殺伐とした都会の人間関係に疲れて時にはうってつけの優しい気持ちになれる作品です。