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僕らの知らない世界:ドゥ・ザ・ライト・シング

ドゥ・ザ・ライト・シング(1989年 アメリカ)

 

スタッフ

制作・監督・脚本:スパイク・リー

撮影:アーネスト・ディッカーソン

 

キャスト

ムーキー:スパイク・リー

サル:ダニー・アイエロ

ラジオDJ:サミュエル・L・ジャクソン

 

あらすじ

たくさんの貧しい黒人や、いろんな民族が一緒に暮らしているニューヨークのブルックリン。クセのある楽しい、時には面倒な人々に囲まれて、主人公の黒人ムーキーはイタリア系アメリカ人サルの経営するピザ屋で働いていた。しかしある日ちょっとしたことからムーキーの周辺でトラブルが起きる。

(ウィキペディアより)

 

予告編

DO THE RIGHT THING - Trailer - HQ

 

学生の頃、スパイク・リーの映画がよく単館で上映されていました。どちらかといえば単館系映画を見ていなかった僕はドゥ・ザ・ライト・シングを観ていませんでした。DVDに録ったきりになっていたのを発掘して観てみました。

 

今見ると少し懐かしめの音楽、ファッションだけどストーリー構成や台詞回し、編集のセンスの良さは十分に現代でも通用しますね。

特に僕は撮影のセンスがとても良いように思いました。狭いストリートをまっすぐ撮ったり斜めに人を配置したりして様々な工夫が見られて興味深かったです。

 

映画の前半までは様々なキャラクターのお互いの絡みがとても楽しく、貧しいながらもこんな世界もありかななんて思ってました。

ところが、ラストのシークエンスでアメリカってやっぱり楽しいだけじゃなくてリアルな差別が現存するんだとはっきりわからせられます。どんなに知識としてわかっていても僕らにはアメリカの人種問題は本当には理解できないのではないかと悲嘆に暮れてしまいます。

 

でも、ここには所謂WASPと呼ばれるアメリカのメインストリームを形成する人々はほとんど出てきません。差別する方もされる方も黒人、イタリア系、プエルト・リコ系、韓国系とマイノリティばかりです。

差別はいけないこと、醜いことだと骨身にしみてわかっているはずの黒人たちが他のマイノリティを平然と口汚く罵り差別します。

 

最後に知的障害のあるスマイリーがトラブルの発端になった栄光の壁にキング牧師とマルコムXの写真を貼りニヤリと笑います。

スパイク・リーはそのキング牧師とマルコムXの暴力に対する正反対の意見を併記します。しかしながらこの映画を見るとマルコムXの「正しい暴力は否定しない、それは知性である」という意見の方がより正しいと主張しているかのようです。