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アヘン王国潜入記 ー農業 イン ゴールデントライアングル

アヘン王国潜入記 - 高野秀行

アヘン王国潜入記 (集英社文庫)

書籍内容(Amazonより)

 ミャンマー北部、反政府ゲリラの支配区・ワ州。

 1995年、アヘンを持つ者が力を握る無法地帯ともいわれるその地に単身7カ月、播種から収穫までケシ栽培に従事した著者が見た麻薬生産。それは農業なのか犯罪なのか。小さな村の暖かい人間模様、経済、教育。実際のアヘン中毒とはどういうことか。「そこまでやるか」と常に読者を驚かせてきた著者の伝説のルポルタージュ。

いざ高野ワールドへ

 数年前から友人二人が著者の作品にはまって何冊か立て続けに読んでいるという話を聞いてました。 また、小中学校の同級生の女性が早稲田大学に進学した後、探検部といういかにも怪しげな部活動に参加したという話も思い出しました。

 興味を持ちつつもなかなか手を付けられないでいたのですが、ソマリアに関する著作2冊が大きな話題になったのをきっかけに僕も禁断の高野ワールドに探検することになりました。

ソマリア本から着手

 まずは話題のソマリア本2冊から手を付けました。いや、これがなかなか面白い! 僕のソマリアに関する知識は名前と場所と無政府状態になっていることと海賊が出没するという断片的なものそれを日本の戦国時代になぞらえて面白おかしく紐解いていく著者の力量に感服。

 ソマリア本については回をあらためてお話したいと思います。

 その2冊で大きく弾みがついたこととAmazonでセールしていたことと合わさって過去の作品を数冊適当に買ってみたですが、その中で一番古い作品から読み始めました。 話の内容は上記のとおりなのですが、なんでも自ら体験しないと気が済まない著者の気合はこの頃から健在でした。栴檀は双葉より芳し。

アヘン王国へ

 現地ワ州のワ人(なんか倭人みたいで親近感がわく)の中に単身飛び込み、同じものを食らい、同じ酒を飲み、農作業(アヘン栽培)を手伝い、挙句の果てにアヘン吸引のご相伴にあづかる始末。

 普通、アヘン吸うかと言われてもなかなか手が出ないだろうけど著者の場合はまったくなんの葛藤もなくワ人と仲良く吸引常習者になっていきます。 ただ、この人の人柄なのかワ人の人たちが肩肘張ることなくプカプカやっているためか、全然悪いことをやっているという雰囲気を読者に与えません。 むしろアヘン、とても気持ちよさそうです。(日本ではもちろん違法です、こう書いとかないと僕の人格まで疑われそうだ)

 1年近く潜入してワ人との繋がりも築いたのですが、アヘンの収穫が終わるとともに別れの時期がやってきました。お涙頂戴的なウエットな展開ではないけれど、その後のワ人たちの境遇を考えると考えさせられる結末でした。 本書に登場してくる素朴な人物たち(そうでない人も)が無事に生活できていることを祈るのみです。

 最近のソマリア本に比べると20年以上も前の作品のため、なんとなく文章とかその根っこのものの考え方とかが若々しい。 でも、面白さはこのころから変わらないので本屋で見かけたら手にとってみてはいかがでしょうか。

 

アヘン王国潜入記 (集英社文庫)

アヘン王国潜入記 (集英社文庫)