Kiriuri.Net

アラフィフのオヤジが読んでくれる人が楽しめる映画、本、音楽などなどをボチボチ切り売りしていきます。

Book

心に冷たい感動を ー 「私を離さないで」 感想

私を離さないで (ハヤカワepi文庫) 一部、ネタバレを含みます。未読の方はご注意ください。 作品の概要 優秀な介護人キャシー・Hは「提供者」と呼ばれる人々の世話をしている。生まれ育った施設へールシャムの親友トミーやルースも「提供者」だった。キャシ…

こんな文章が書きたいな 映画を聴きましょう 細野晴臣

映画を聴きましょう 細野晴臣 キネマ旬報社 この本の概要(Amazonより) 映画雑誌『キネマ旬報』にて2012年8月下旬号よりスタートし、2017年10月下旬号で58回を迎えた細野晴臣氏の連載『映画を聴きましょう』を書籍化。また、特別企画として細野氏との共著『…

応仁の乱 戦国時代を生んだ大乱

応仁の乱 戦国時代を生んだ大乱 (中公新書)著者 呉座勇一 この本は・・・(Amazonより) 室町後期、京都を戦場に繰り広げられた内乱は、なぜあれほど長期化したのか。気鋭の研究者が戦国乱世の扉を開いた大事件を読み解く。 【目次】 はじめに 第一章 畿内の…

読書という行為そのものの面白さ(電子書籍、恐るるに足らず)ー もうすぐ絶滅するという紙の書物について 感想

もうすぐ絶滅するという紙の書物についてウンベルト・エーコ、ジャン・クロード・カリエール 目次 序文 本は死なない 耐久メディアほどはかないものはない 鶏が道を横切らなくなるには一世紀かかった ワーテルローの戦いの参戦者全員の名前を列挙すること 落…

日本の幻のフロンティア ー 満洲暴走 隠された構造 大豆・満鉄・総力戦 (角川新書)

満洲暴走 隠された構造 大豆・満鉄・総力戦 (角川新書) なぜ満州? 初めて満州という言葉を知ったのは小学校低学年の時に読んでいた「のらくろ」に出てきたか、もう少し後に「マカロニほうれん荘」できんどーさんと熊先生のネタで出てきたか… 最初はただ単…

憲法の無意識 ー 柄谷行人

憲法の無意識 柄谷行人 柄谷行人、とても懐かしい名前だと思った。浅田彰、蓮實重彦とか、ポストモダンとか、構造主義とか…。僕の二十前後のころ、思想が流行ったんだよね。 NHK教育テレビでYOU(特別思想に特化した番組ではなかったけど)とか見て、内容は…

サピエンス全史 ー 通史にはない歴史エッセイの面白さ、ちょっと長いけど

サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福 ー 国家、貨幣、企業……虚構が他人との協力を可能にし、文明をもたらした! ではその文明は、人類を幸福にしたのだろうか? 現代世界を鋭くえぐる、48カ国で刊行の世界的ベストセラー! サピエンス全史 単行本 (上)(下…

アヘン王国潜入記 ー農業 イン ゴールデントライアングル

アヘン王国潜入記 - 高野秀行 書籍内容(Amazonより) ミャンマー北部、反政府ゲリラの支配区・ワ州。 1995年、アヘンを持つ者が力を握る無法地帯ともいわれるその地に単身7カ月、播種から収穫までケシ栽培に従事した著者が見た麻薬生産。それは農業なのか犯…

ワーク・シフト 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図<2025> ライフ・シフト 100年時代の人生戦略

ワーク・シフト 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図<2025> ライフ・シフト 100年時代の人生戦略 リンダ・グラットン プレジデント社 久しぶりに自己啓発本ウェーブがやってきた 自己啓発本って普段は「『意識高い系』の人が読むんだろうなぁ」…

帰ってきたヒトラー 笑えるけど本当は怖い話

帰ってきたヒトラー(ティムール・ヴェルメシュ 上下巻 河出文庫) 感想 ヒトラーが突如、現代に甦った!周囲の人々が彼をヒトラーそっくりの芸人だと思い込んだことから勘違いが勘違いを呼び、本当のコメディアンにさせられていく。その危険な笑いで本国ドイ…

We are not alone?:地球外生命 われわれは孤独か 感想

地球外生命 われわれは孤独か 長沼毅・井田茂 岩波新書 地球は奇跡の星か、ありふれた星か そして生命は? (本書帯より) 目次 はじめに 生命は星の一部 第1章 地球生命の限界 第2章 地球生命はどのように生まれ進化したのか 第3章 地球の生命条件が少し…

答え合わせをしてみよう:大世界史 現代を生き抜く最強の教科書

大世界史 現代を生き抜く最強の教科書(池上彰、佐藤優 文春新書) 陳腐化する新書 本書を二ヶ月ほど前に買ったのですが奥付をよく見たら昨年10月に発行された本でした。新書は長年読まれ続ける本もありますが、旬を過ぎたら中身が陳腐化してしまう本もあり…

不良のデビューは早いほうがいい?:生身の暴力論 感想

生身の暴力論 久田将義 講談社現代新書 世の中には「本当にやる」人間がいる 殺人者はなぜ「眠そうな目」をするのか? 「デビュー」が遅い人間の危うさとは? 言葉を軽んじる人は「言葉に復讐」される? (本書帯より) 目次 はじめに 第一章 暴力の本質とは…

日本にはまだ早い?:フィンテック まとめと感想

フィンテック(柏木亮二 日経文庫) ”話題のフィンテックについて、その全体像をわかりやすく解説。なぜ注目を集めているのか、これからの金融ビジネスにどのように影響を与えるのか、新技術の概要や規制のあり方についてなど幅広くまとめました。” (本書カ…

古代史最大のフィクサー:比ぶ者なき 感想

比ぶ者なき 馳星周 万世一系、天孫降臨、聖徳太子 すべてこの男が作り出した。 時は七世紀末。先の大王から疎まれ、不遇の時を過ごした藤原史(ふひと)。 彼の胸には、畏ろしき野望が秘められていた。それは、「日本書紀」という名の神話を創り上げ、天皇を…

引きの美学:この世界の片隅に 感想

この世界の片隅に(2016年 日本) 原作を読んだこと 前回本作を見た後すぐに原作本を購入。 家の周辺、自由が丘、二子玉川を回って5軒目でやっと入手することができた。 すごく売れているのか、まだ重版が間に合っていないのか。売っていたお店(紀伊国…

転換点に立つ意識:問題は英国ではない、EUなのだ

問題は英国ではない、EUなのだ 著者:エマニュエル・トッド 僕がこの本を手に取ったのは、イギリスのEUからの離脱(ブレグジット)、先日のアメリカ大統領選でのトランプの勝利、フランス、オーストリアでの、右派の躍進。既存政治へのノーが、反グローバリ…

栄光を掴め:アド・アストラ -スキピオとハンニバル- 感想

アド・アストラ -スキピオとハンニバル- 作:カガノミハチ あらすじ 紀元3世紀、第二次ポエニ戦争で共和制ローマの英雄、スキピオ・アフリカヌスとカルタゴの天才将軍ハンニバルとの戦いを描いた歴史漫画。 数年前、ある書店で本書が平積みされているのを見…