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アラフィフのオヤジが読んでくれる人が楽しめる映画、本、音楽などなどをボチボチ切り売りしていきます。

年末年始、やたらテレビ(BS)でやってた007シリーズについて語ります(前編)

f:id:kiriurinet:20180113143014j:plain 今、タイトルをタイピングしていて、ふと思ったんですが007はだぶるーおーせぶんであってぜろぜろせぶんではないんですよね。だから、厳密に記述するとOO7となり007にはなりません。でもフォント的に統一されなくて個人的に気持ちが悪いので以下007で記述していきます。

どうでもいいですか?

念のために言っておきますが、ネタバレを多少含みます。 すでに地上波で何回も放送しているような古い映画も多いですから別にお気になさらないと思いますが、どうしても気になる方はご遠慮ください。 新しいダニエル・クレイグ版では控えめにしておきます。

はじめに

さて、007シリーズを語るのに色々切り口はあると思うのですが、今回は歴史好きの僕の趣味で編年体でジェームス・ボンドを演じた俳優を中心に語りたいと思います。

とはいえ、あんまり長ったらしいと読者の方に読んでいただけないので四期にまとめてみたいと思います。(それでも長いですが)

  1. 『ドクター・ノオ』から『ダイヤモンドは永遠に』までを黎明期

  2. 『死ぬのは奴らだ』から『美しき獲物たち』までを爛熟期

  3. 『リビング・デイライツ』から『ダイ・アナザー・デイ』までを回復期

  4. 『カジノ・ロワイヤル』から『スペクター』までを革命期

この分け方も異論があると思いますが、とりあえず読んでみてください。

黎明期(ショーン・コネリー~ジョージ・レーゼンビー~ショーン・コネリー)

イアン・フレミングの手になる原作小説が出版されたのは1953年だそうですが、007がはじめて映画化されたのは1962年です。

僕を含め大半の読者の方はまだ生まれていないと思いますので時代背景をお話しますと、第二次世界大戦後に始まったアメリカ(西側)とソ連(東側)の二超大国が核兵器を、何回でも世界滅亡させるほどバンバン作って睨み合っていた、いわゆる東西冷戦時代です。

主人公であるジェームス・ボンドはアメリカと同じく西側イギリスのスパイですから、この緊迫した状況を背景に活躍するわけです。

1作目『ドクター・ノオ』(邦題:007は殺しの番号)は秘密兵器も出て来ないしボンドカーもありません。今見るとかなり地味な作りです。第1作だったんで製作予算が少なかったんですね。作中で珍しいコネリーの歌声が聞けます。

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2作目になる『ロシアより愛をこめて』(邦題:007危機一発)がシリーズのその後を決める世界的大ヒットとなりました。また、秘密兵器、美しいボンドガール(ダニエラ・ビアンキ)も登場しています。僕はダニエラ・ビアンキが歴代ボンドガールの中でも随一だと思っています。映画自体の出来もよく、人気投票をすると今でも上位に食い込みます。

3作目『ゴールドフィンガー』、4作目『サンダーボール作戦』、5作目『007は二度死ぬ』までシリーズは世界的ヒットを続け着々と実績を上げていきます。映画界でもドル箱コンテンツとして誰もが楽しみにする作品となっていました。 なお、二度死ぬは日本が舞台となっており、丹波哲郎や浜美恵が出演しています。ボンドが日本人に変装する珍演出もあり今見るとちょっと笑える日本になっています。

大ヒットを続けていたのですが主演のコネリーがイメージがボンドに固定されてしまうことを嫌って(諸説あり)作品から降りたため、6作目『女王陛下の007』では当時無名だったジョージ・レーゼンビーを抜擢します。興行成績はよかったものの当時はまだコネリーの印象が強すぎてイマイチの評価だったようです。

ちなみにこの作品でボンドは初めて結婚します。これまでのところボンドが結婚したのはこの作品だけです。しかし結末は悲劇的でした。

コネリーは7作目『ダイヤモンドは永遠に』で復活しますが、作品自体はそれまでのシリアスな路線から少々コメディチックになっており雰囲気が変わった感じがしています。コネリーの復活はこの1作のみで次作からはロジャー・ムーアがボンドを演じることになります。

ちなみにコネリーは1983年の『ネバーセイ・ネバーアゲイン』でボンド役に再び復活しますが、大人の事情で007という言葉が使われていません。番外編という扱いです。

東西冷戦を背景に犯罪組織スペクターという明確な敵が存在し、それと戦うボンド像が確立されていった時期だったように思います。

爛熟期(ロジャー・ムーア)

8作目『死ぬのは奴らだ』からロジャー・ムーアがボンド役を演じます。コネリーボンドに比べムーアの演じたボンドはムーア本人の持つ雰囲気を反映し、柔らでユーモラスなキャラクターに変わっています。作品自体もシリアスでシビアな作風というよりゴージャスでコメディの要素が加わったのではないでしょうか。

9作目『黄金銃を持つ男』は何度かテレビで見ているのですが、色々なもの(ペンとかライターとか)が合体して作られる黄金銃と妙に暗いスカラマンガ(悪役:クリストファー・リー)しか印象に残っておらずムーア2作目から苦戦かなと思ったものでした。

10作目『私を愛したスパイ』は記念すべき僕が初めて映画館で見たボンド映画です。

前作から3年ブランクが空いていたらしく、そのためか本作が優れた作品だったためか、これまでボンド映画の中で最大のヒットになったそうです。

当時デタント進んで多少仲良くなっていた米ソの関係を背景にボンドとソ連のスパイが協力して悪役を追うストーリとなっています。

また、ボンドカーとしてロータス・エスプリが登場しており、当時スーパーカーブーム真っ只中にあった僕は一気にボンドワールドに引き込まれました。その後しばらくはボンドカーといえばロータスということになります。

そして、本作で身長2m以上、鉄製の歯をもつ偉業の悪役、ジョーズが登場しています。こちらもロータス同様インパクトが強く好評だったため次回作以降も登場することになりました。

11作目『ムーンレイカー』でついに宇宙にまで進出したボンド、しかし派手だった割りにあんまり印象に残ってません。 12作目『ユア・アイズ・オンリー』は前作で悪い意味で派手になりすぎたためハードなアクションを盛り込んだ作品といわれています。 13作目『オクトパシー』、14作目『美しき獲物たち』と作品は続きますが、正直このころから僕自身はマンネリ化を感じていて、ムーアもなんだかおじいちゃんになっているしボンドシリーズもそろそろ終わりかなと思った時期でした。

背景には上述のデタント以降ギスギスした東西対決も少し下火になり、ボンドの強敵たるスペクターも登場しなくなり、シリーズ自体が迷走していた感があります。

長くなってしまったので今回はこれくらいにして、明日以降後編をお送りします。 お楽しみに。