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帝国の復活 トルコ・イラン・アラブ 中東の覇権をかけた戦い

サウジ人カショギ氏暗殺

先月(2018年10月)にトルコのサウジアラビア領事館でサウジアラビア人記者が殺害される事件が起きた。

事件当初はそのセンセーショナルな内容と1ヶ月後に控えたアメリカ中間選挙への影響もあり、テレビや新聞、雑誌でも大きく取り上げられた。

今日、アメリカの中間選挙も終わり、事件の続報もない中でだんだん日本のメディアでは取り上げられなくなっている。

地理的歴史的に遠い日本にとって、当事者国だけでなくアメリカやロシアなどの大国の存在が複雑に絡み合う中東の情勢はわかりにくいものである。

トルコvsサウジvsイランの三国志

先日読んだ日経ビジネスオンライン(*)の記事「学び直し! 「明日」に役立つ世界史講座 トルコvsサウジvsイランの三国志」は、中東情勢の歴史的な背景をわかりやすく紐解いていて興味深い内容だった。

記事内容

  • イスラム教開祖ムハンマドを生み一時は大帝国を築いたアラブ人は、トルコ人のオスマン帝国、イラン人のペルシア帝国に挟まれて落ちぶれていた
  • 第一次大戦後、トルコ帝国滅亡を機に復権を果たしサウード家によるサウジアラビア建国
  • 石油利権のためサウジによるアラビア半島統一を嫌う英国の策略により、サウジ周辺をミニ国家で包囲
  • イラク、ヨルダンにはアラブの名門ハーシム家による王国を樹立し地中海からペルシャ湾への通り道を築いた
  • 英国同様石油利権を狙うアメリカがサウジに接近し軍事援助開始
  • アラビア半島周辺のミニ国家がサウジとは宗派的に敵対するイランに接近
  • イランで親米王朝を倒してイスラム教国家(反米)が樹立
  • 事件の背景 サウジ皇太子あるいは側近の陰謀?

中東への目線を失わない

事件が起きたトルコは政教分離を果たした世俗的な国家であったが、独裁的なエルドアン大統領によりイスラム色を強めている。

トルコ・イラン(ペルシャ)・サウジアラビアはともに広大な版図をもつ大帝国を築いた歴史を持っていた。19世紀から20世紀にかけて欧米列強による支配を受けてきたが、ここにきて中東の覇権を巡り競い合うようになってきたように見える。

僕らは単に石油の輸出国と考えるだけでなく歴史的背景をできるだけ理解し、この国々の情勢を注視していくべきだろう。

そのためにはこれまで以上に日本のメディアによる情報提供を期待したい。

自己責任論とか言って内輪もめしている場合ではないのである。


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