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ハワイではなくサモアのモアナはたくましかった:映画 「モアナ 南海の歓喜」 雑感

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モアナ 南海の歓喜(1926年 アメリカ)

昨日(10月12日)神保町 岩波ホールにて鑑賞。

モアナというと世間一般的にはディズニー映画「モアナと伝説の海」を思い浮かべると思います。 今回、僕が観て来たのはディズニー映画ではありません。 同じく主人公はモアナですが、男の人です。

戦前(昭和が始まったころ)に制作された太平洋のサモア人をテーマにしたドキュメンタリー映画です。 ちなみのこの映画の批評で初めて「ドキュメンタリー」という言葉が使われたそうです。 つまりドキュメンタリー映画の元祖ですね。


『モアナ南海の歓喜』予告編

圧倒的な自然に負けない肉体美

現在、サモアをはじめポリネシア(*)の島々に住んでいる原住民の血を継いだ人々を想像するときに皆さんは、昔の相撲取りの小錦や曙を思い浮かべるかもしれません。 あの二人は桁違いに大きいとは思いますが、原住民の人たちはみんなぽっちゃり型を多いですよね。

でも、この映画に出てくるサモア人の人々は誰も太っていません。 若者たちは皆、何かのスポーツ選手ではないかと思うほど筋骨隆々としています。 また、中年〜老人たちも若者たちほどではないにせよ太ってはいません。 食生活が欧米化される以前のサモア人たちは自然から食料を獲得するために戦っていたので太るようなことはなかったのでしょう。

ポリネシアは北はハワイ諸島、南はニュージーランド、東はイースター島を結んだ広大な海域のことをいいます。詳細はこちら

タトゥー文化

映画の後半、主人公は大人になる通過儀礼として全身にタトゥーを施します。 今の機械で彫るものと違い、それは大変な痛みを伴うものでした。 だからこそ、それが立派な男になった証となるわけです。

英語のtatooももともとはポリネシア(サモア、タヒチ、トンガなど)の言葉が語源とされています。 ポリネシア人はオーストロネシア人に含まれ、ここには台湾、東南アジアの島々、インドネシア、ハワイ、ニュージーランドの原住民も同様です。 また、驚くべきことにアフリカ大陸の東に位置するマダガスカル島でも同祖の人々が存在します。 つまり、東南アジアからインド洋を渡って遠くアフリカまで到達していたわけです。

言葉だけでなく多くの文化も共有されており、そのひとつがタトゥーだと思うのです。

話はそれますが、日本にも黒潮に乗って南方からやって来た人々がいたでしょう。

仮説レベルの話ですが、そういった人々がいわゆる海人族と呼ばれ日本全国に散らばって行ったと考えられています。

そうすると日本の漁民文化にもタトゥー=入れ墨があったのも、なんとなく頷けるように思えてきます。

伝統的な歌やダンス

ポリネシアの国々といえば、歌やダンスも忘れてはいけません。

なにを隠そうウチの奥さんはフラ(ダンス)スタジオの先生なのです。

そんな縁もあってこの映画を見に行ったわけですが、サモアのダンスもなかなか素晴らしいものでした。

個人的な感想ですが、フラに比べると洗練されていない土着な香りをたっぷり残している非常に力強いダンスだと思いました。 90年くらい前の映像なので、そう感じるかもしれませんね。

f:id:kiriurinet:20181013172715j:plain FestPac 2016に出場していた現代のサモアのダンサー

最終日の最終上映で観たので皆さんが興味を持たれても東京での公開はすでに終わっています。

ごめんなさい。

ただ、どうしても観たくなった人は10月13日現在で仙台で上映しているのでお知らせしておきます。