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日本にはまだ早い?:フィンテック まとめと感想

フィンテック(柏木亮二 日経文庫)

 

”話題のフィンテックについて、その全体像をわかりやすく解説。なぜ注目を集めているのか、これからの金融ビジネスにどのように影響を与えるのか、新技術の概要や規制のあり方についてなど幅広くまとめました。” (本書カバーより引用)

 

目次

第Ⅰ章 フィンテックが注目される理由

第Ⅱ章 進化するフィンテック

第Ⅲ章 いま何が起こっているのか押さえておこう

第Ⅳ章 金融ビジネス・実務への影響

第Ⅴ章 フィンテックにどう向き合うか

第Ⅵ章 さらに進化するフィンテック

 

 フィンテックとはファイナンスとテクノロジーを組み合わせた造語で、ITを活用した革新的な金融サービスのこと。

 ここ数年で報道で頻出するようになったワードです。

 

 具体的にサービスをあげると個人間の決済を行うペイパル、スマホでクレジット決済を行うスクエアなんかが日本では馴染みがあるかもしれませんね。本書には他にも具体例が載っているんですが正直僕はこの二つしか知りませんでした。

 

 注目される理由としては以下の4つです。

  1.既存のサービスに比べてユーザーインターフェースやユーザーエクスペリエンスが優れていた

  2.猛スピードで既存サービスをキャッチアップしてしまう

  3.既存サービスに比べ非常に低価格あるいは無料

  4.末端インフラがスマホで済むため大規模なインフラが不要で発展途上国でも展開可能

 

 もともと金融業はIT化の最前線をいつも走ってきました。研究機関以外で大型コンピュータを最初に導入したのも金融業界です。ですから、僕たちが頻繁に使うATMも広く言えばフィンテックになります。

 

 しかしながら現在話題となるフィンテックは金融業の既存の形態を壊してしまう可能性があるというのです。既存の銀行や証券会社は多様な機能を取り揃えています。少額の預金、個人向けの住宅ローンから大企業相手の融資まで。新たなフィンテックではテクノロジーの力で機能ごとに分解(アンバンドル)してしまうのです。

 例えば住宅ローンではいくらまでお金を融資できるかの信用調査(与信)があるのですが、これだけを抽出してサービス化しビッグデータを活用することにより銀行よりも素早く正確な与信ができるようになったすれば借りる方はこちらのサービスを使うことでしょう。

 銀行よりも正確な与信ができるなら銀行だけでなく個人間で融資をしてくれるようになるかもしれません。こういったことが積み重なることで既存の銀行のサービスがバラバラになった場合、銀行にとっては不都合なことになるわけです。

 

 さらに知りたい方はぜひ本書を手にとっていただくとして…

 フィンテックによる金融サービスを成功させる前提の一つに個人のカネの流れをビッグデータとして捉える必要があるのですが、日本の場合収入はほとんど銀行振り込みなので情報を掌握しやすいのですが支出(決済)の多くが現金でなされるため情報の把握が難しいのです。

 クレジットカードやデビットカーソによる決済が70%以上ある欧米とはそこが違います。

 したがって、本書に書かれている米国での先進事例が日本にやってくるまではまだしばらく時間がかかると思われます。

 

たまに難しい本を読むと疲れますね(笑)